彼の溺愛 致死レベル ゾルック 四人目





綺月は
組んでいた長い足をほどき、
揃えると。



背筋を伸ばし。

凛と俺を見つめてきた。




「氷牙。
 あの時のお返し、今度は俺にさせろよ」


「お返しって?」


「今ので、わかんねぇのかよ?」




わかんねぇよ。

わかんねぇから……


「綺月、ちゃんと人間語を話せ!」


「話してるっつうの!」




「あぁ~。悪魔に理解求めるのって
 こんなムズイのかよ?」と、

波打つ黒髪を、
両手で掻きむしった綺月は。



「だから!
 みくるちゃん一人だけの前で、
 ゾルックライブをしてやるって言ってんの!」


俺の心に響けとばかりに、
人差し指を俺に突き出してきた。





それって……



客は、みくる一人だけ。


そんな中で、俺がアイドルとして
ステージに立つって言うことだよな?




そんなの無理に決まってるだろ!


ハズすぎて、俺の心が崩壊するわ!