「綺月、どう思うよ?」
「どうって?」
「俺ってさ、みくるに嫌われる前に、
婚約を解消するべきだと思うか?」
そもそも俺は
みくると結婚したとしても
人としての幸せを与えてあげることは
不可能で。
ゾクゾクさせ過ぎたら、みくるは死ぬ。
だから、子供なんて絶対に作れない。
俺の惚れた
みくるの『人情味』って奴は
母親になった時、
一番に発揮されると思うのにな……
「今、俺が……
みくるの前から姿を消せばさ……」
肩を落とし
視線も床に落とした、情けない俺に。
「ゾルックの絶体君主の魔王様は、
そんな弱気発言をする奴じゃ
なかったと思うけど」
綺月は、地に落ちたままの
俺の心を包み込むように
やけに優しい声を、放ってくれたけれど。
「俺も一応、
人間の血が通ってるからさ。
弱音を吐かないと、
潰れそうになることくらいあるんだよ」
彼女とハッピーすぎ。
人生バラ色。
勝ち組高校生。
そんな綺月に、
俺の気持ちなんてわかんだろうな。
諦めのため息が漏れてしまう。



