あれ?雨の落ちる音がする。やばっ!洗濯物取り込まなきゃ!
啓太、傘なんて持ってないよね。
どうしよう、学校まで迎えに行った方がいいかな。
それともそんなお母さんみたいな事したら嫌がられちゃうかな。
ううん。啓太が雨にぬれて風邪を引くくらいなら、嫌がられてもお迎えに行こう。
私は啓太の差す傘を1本片手に握りしめて、学校へ向かった。
学校に着くと啓太たちの乗ってきたであろうバスはもう到着していて。
学校の駐車場にはおうちの人のお迎えの車が何台も駐車していた。
校門のところで待っていればすれ違うこともないだろうから、私は門の所で啓太が出てくるのを待った。
しばらくすると啓太とお友達が二人でカバンを頭にのせて走ってくるのが見えた。
「啓太!」
私はそんな二人に声を掛けて呼び止めた。
「えっ?優菜?」
まさか私がここにいるとは思わなかったのだろう。啓太がびっくりして私を見た。
「雨降ってきたから、はい。傘持ってきたよ。でも、ごめん。お友達の傘が・・・。」
「優菜、その傘こいつに貸してもいい?俺はこっちの傘に入るから」
そう言って私が差し出した傘を啓太が友達に預けて、啓太は私の傘の中に入って私から傘の柄を取った。
「啓太と先輩、すみません。傘お借りします。じゃな、啓太!また部活でな」
そう言ってお友達は走って帰って行った。