食事が終わり、私は一番聞きたかったことを啓太に振る。
「ねぇ啓太。話したくなかったら答えなくていいんだけどさ」
「ん?何?俺、別に隠すことなんて何もないよ」
「あのね、苗字が変わったでしょ。そのこと、聞いても大丈夫?」
「ああ、高橋から斉藤ね。うん。話すよ」
啓太は隠すことなく話してくれた。
「俺が中学になった頃から親父が出張、転勤で家を不在がちになってさ。両親がすれ違うようになっていったんだ。修復できないところまでになったから俺が中学2年の時の冬に離婚したんだよ」
「そう。啓太も悩んだね。全然知らなくて、ごめんね」
「優菜には逆にそんなことで悩んでいるなんて気付かれたくなかったし」
「でも、豪くんは知ってたみたいだった」
「ん。豪先輩は部活を引退してからも時々練習を見に来てくれてて。俺、その当時少し荒れてたからさ。豪先輩も気付いたんだろうな」
「そっか。啓太、寂しくない?」
「うーん、もう一人は慣れたかな」
「えっ?一人ってなに?」



