お母さんの再婚の話を聞いてから一か月が経ち、そろそろ考えを纏めなければならない時期に来ているのが分かる。
雑誌社の寺田さんから催促の電話が来たし、お母さんは豊喜さんの会社で渡航前の勉強会に参加している。
その豊喜さんはシンガポールへ一足先に着任した。
そんな中、啓太からこんな提案があった。
「冬休みになったら、北海道へ行かない?俺の母さんのところ。電話じゃなくて直接会って、今後の俺たちの話をしたいんだよ。優菜のこともちゃんと紹介したい」
啓太はいつの間にこんなに考えが大人になったんだろう。まだ高校1年生なのに。
啓太に無理をさせているんじゃないかな、私。
それでも啓太のお母さんの意見も聞きたくて。
「うん、ぜひ啓太のお母さんに会いたいです。よろしくお願いします」
「優菜、俺の気持ちはもう決まってる。俺、優菜と暮らす。優菜にはシンガポールへ行って欲しくない。俺、優菜を守れる男になるから。そう母さんに伝えたいんだ」
「うん。その啓太の気持ち大切にするね。私も啓太とは離れたくない。一緒に居たい」
「じゃ、一つの答えは出たね。細かい問題は沢山あるけど、一つ一つ解決していこう。今夜、優菜のお母さんにそう報告しようよ。いいね?」
「はい」