「じゃ、今から話すお母さんと豊喜さんの提案を受け入れるか否か、2人で答えを出してくれる?返事はすぐじゃなくていいの。啓太くんのお母さまには許可を頂いているから」
私と啓太は意味が分からず顔を見合わせた。
「優菜はシンガポールへ行かずに、この家に残るの。今まで通りの生活をして。そして啓太くん。ここに優菜と一緒に住んでくれないかしら。二人とも別々の場所で一人暮らしするなら一緒の方がいいでしょ。それに啓太くんがいてくれるなら安心して私たちはシンガポールに行けるし」
いつの日かお母さんが言っていた、
「啓太くん、いっそのこと、ここに住まない?」っていう現実味のない話。
それが本当になるって言うことなの?
あの時は無理だと思って冗談で返していたのに。
「問題が多すぎない?学校へはどう説明するの?3年生になったら保護者面談とかも何回もあるし、第一、啓太の負担になってしまう。啓太はまだ高1だよ。そんな重荷になるようなことは無理だって」
私は能天気な二人からの提案を否定した。
「優菜、俺負担だなんて思わないよ。逆に優菜の方が俺と一緒に居ることによって自分の時間が無くなってしまうんじゃないかって。そっちの方が心配」
「うん、やっぱりこの二人なら大丈夫だね、裕美さん。お互いを想い合えている。この年齢で自分のことより相手のことを想えるって、凄いよ。僕も見習わなきゃね」
豊喜さんが私たちを褒めてくれるけど、そんな簡単な話じゃない。



