「嘘だよ。楽しそうにしてたもん、斉藤くん。私、もうなんだか気持ちがぐちゃぐちゃで分からないよ」
また涙が滲んでくる。もう、いやだ。こんな意味の分からない感情。
「ねぇ、なんで俺がマネと仲良く話してたら優菜先輩が泣くの?」
そう聞きながら笑っている斉藤くん。
「だから、分からないんだってば!斉藤くん、なんで笑ってんのよ!なんかムカつく!」
悲しい気持ち、笑っている斉藤くんへの怒り、本当にいろいろな感情が私の中で入り混じって。
思わず斉藤くんに当たってしまう。
「なんで分かんないんだよ、自分の気持ち。その優菜先輩のぐちゃぐちゃな気持ちって、何て言うか知ってる?それってやきもちって言うんだよ」
「えっ?やきもち・・・?」
「優菜先輩ってさ、俺のこと好きになってんでしょ?早く気づいてよ」
斉藤くんはそう言って、私から一歩下がり両腕を広げた。
私はその意味が分からなかった。斉藤くん、それってなんのポーズなの?



