「け、いた。あのさ、また停電したらイヤだからさ。夕飯作っちゃお。それとお風呂も電気がついている間に入っておかないと」
私は甘いムードよりも現実を優先させた。
「優菜ぁ。そんなこと言うの?俺が死ぬでしょ?」
「死にません!それに夜は長いでしょ。片づけまで終わったら、啓太の好きにしていいから。ね」
「何を好きにしていいのさ」
「・・・・これ以上私から言わせないで」
「よし!夕飯作ろ!早く作ろ!」
切り替えの早い啓太。やっぱり子供だよね。
それからの啓太はいつも以上に手際良く料理をするから、啓太の上達ぶりに驚いた。
「これだけお料理ができたら、確かに合宿で重宝されるはずだよね。啓太、すごく包丁さばきが上手になったね」
「んー、でも料理するのは優菜とだけでいいや。他の奴らのメシ作ったって嬉しくもなんともない」
ふと気付くと、啓太の家のキッチンに色々なものが増えた。前まで無かった調味料や、サイズの違うフライパン。ちゃんと生活しているって感じのキッチンになっている。お父さんがこのキッチンを見たら驚くかな。
「そう言えばさ、啓太のお父さんってここには帰って来ないの?転勤してたって纏まった休みの時くらいあるでしょ?」
「あー、そうだね。全然帰ってくる気配ないね。多分、大阪に彼女でも作ってんじゃないの?親父も一応独身だしな」
「そんなのイヤじゃないの?」
「別にどーでもいいよ。俺はいずれ母親の所に行くんだし」
「北海道・・・だっけ?」
「ん。そうだな。ここからは遠いな」
「高校を卒業したら、行っちゃうの?」
「どうだろう、離婚した当初は俺もまだ中二だったし、そんな話になってたけど。今更俺が北海道に行ったところで、どうすんだって話だよな」



