お店の扉を開けて一歩外に出ると、ふわっと夏の暑苦しい匂いがした。
集まった皆がぞろぞろとお店を出た時、お店の脇の壁に腕を組んでもたれていた背の高い男の人が私たちの集団に向かってお辞儀をする。
その人を認識できるのは、私と豪くん。
他の人は『誰?』と疑問の表情で、彼を見ている。
「えっ?啓太、どうしてここにいるの?」
小さく、独り言のように呟いた私の背中を押してくれたのは豪くんで。
「早く行ってやれよ、優菜」
「うん」
私はその彼の胸に飛び込んだ。
「啓太!啓太!」
私は啓太の胸の中で泣いた。
「啓太、ごめんね。あんなことを言わせてしまって。本当にごめんなさい」
「優菜。俺、優菜と一緒にいてもいいの?」
「私、啓太じゃなきゃ嫌だよ。もうお別れするみたいなこと、言わないでね」
「優菜の気持ち、豪先輩に話した?優菜は豪先輩に揺れなかったの?」
「ばか!揺れるわけないよ。ずっとずっと言ってるでしょ。好きなのは啓太なの!」
そこでやっと啓太は私に腕を回してくれて。皆が見ている前なのに抱きしめてくれた。



