「そうだね、俺、誰かから告られたときはいつもそう言って断ってたから」
「そうだったんだ。でも好きな人はいたんでしょ?」
「ん。いたよ。すごく好きな人。あの頃も、今でも変わらずに好きな人」
豪くんはそう言って、私から目を逸らさない。
豪くんの力強い目線に耐えられなくなって、私は自分の足元に視線を移した。
「凄いね、豪くん。そんなに長い間好きな人がいるんだね」
「別に凄くないよ。断られるのが怖くて、一度も告白できていないんだ。意気地なしなんだよ、俺は」
「豪くんは意気地なしなんかじゃないよ。私、今だから話すけどさ。中学の時ね、豪くんのことが好きだったの。いつも側にいてくれて、すごく嬉しくてさ」
「えっ?!優菜?」
「でもね、豪くんが”好きな人がいる”って言ってたから。それを聞いてからは豪くんの側にいたら豪くんの好きな人に誤解させちゃうと思って。少し豪くんから離れたこともあったかな」
「・・・・。」
「あっ!豪くん、ごめん。こんな話するつもり無かったのに。啓太がさ、変なこと言うから喋っちゃった。ホント、ごめん。昔の話だと思って聞き流して」
「啓太から何か言われたのか?」
「それがね、さっき私、中学の時に豪くんのことが好きだったって言ったでしょ。そのことを豪くんに話してみたら?とかね、それについて、あとは私と豪くんの問題だから、とか」
「あいつ、そんなことを優菜に言ってたのか。それでもここに来させたんだ?本当は啓太、優菜がここに来ることを嫌がってただろ?」
「うん。行くの?本当に行くの?ってずっと言ってたよ」
「そりゃそうだよな。ここには俺がいるからな」



