楽しく過ごそうよ、なんて言っておきながら私は身支度に時間をかけていて、啓太をないがしろにしているんだけどね。
すると啓太が私のカールした毛先を指で絡めて、
「ねぇ優菜。これって誰のために巻いてるの?俺、優菜がこんなにおしゃれしてるの見たことないんですけど」
「えへっ。惚れ直してくれた?」
「惚れ直さないもん。だって俺の為のおしゃれじゃないじゃんか」
「みんなと久しぶりに会うのに少しは大人になったところを見せたいじゃない?何もしないで普段の私で行ったら、自分が惨めになるでしょ。男の啓太には理解できないかも知れないけどさ」
「優菜はいつものままで可愛いのに」
そう言って啓太は頬をプクッと膨らませて拗ねた顔をした。
「ふふっ。それ、凄く嬉しい。啓太とのお外デートの時は今日よりもっと気合入れておしゃれするから。そんなに拗ねないで」
私は啓太の不貞腐れて膨れている頬を両手で挟んでそっと押した。



