「そうだ、優菜。俺さ、優菜に二つ文句があるの」
「何?怖いよ、文句なんて」
「一つ目。料理を教えてくれているのは凄く助かってる。料理するの結構楽しくなって、手際も良くなったし。でね、それが合宿では裏目に出たんだよ。その吉岡さんが待ってたのも俺が料理を手伝うことになったからなんだ。俺が上手に作ってるの見てさ。全部俺にやらせようとしてたんだよ、あのマネージャーたち」
「そんなこと言われても。私だって啓太と一緒にキッチンに立つの楽しいから、つい。じゃ、もうお料理は一緒に作らない?」
「いや、一緒にやる。俺も優菜となら楽しいから」
「じゃ、文句じゃないでしょ?もう、聞くの怖いから止めてよ」
「二つ目。合宿でコーヒー事件があったんだ。これは優菜が悪いからな」
「なに?コーヒー事件って?」
「朝食にさ、コーヒーとか紅茶が選べて。俺は自慢げにブラックコーヒーを選んでさ。みんなに大人じゃんって言われたの。で、そのコーヒーを一口飲んで噴き出したからね。苦くて我慢できなかったの。あれ?こんなはずじゃないのにって思って、もう一口飲んでみたらやっぱり苦くて、また噴き出したの。想像してよ、皆に大爆笑されたんだからな」
「あはははっ!啓太、面白い!それ私も見たかった!!ひーっ、おなか痛い」
「笑い事じゃないって。超恥ずかしかったんだから」
「背伸びはしない事だね。啓太は啓太なんだから。もうコーヒーも無理に飲まなくていいんだよ。私が啓太に淹れてあげてるのは薄いアメリカンなんだから」
「それさ、言っといてよね」
私はしばらく笑いが止められなくて。涙を流しながら笑った。
「ごめん、ね。啓太」



