「水輝(みずき)、今日は学校から早めに帰ってくるんでしょ?」
鏡を見ながら髪の毛を整えていると、お母さんが壁からひょこっと
顔を出して言う。
「うん」
「今日は、午前中仕事ないし、電話してくれたら行くよ?」
私の家は母子家庭で、お母さんが頑張って仕事をしている。
「大丈夫っ!
せっかくの休みなんだし、休みなよ」
「なら、お言葉に甘えて」
少し悩んだような顔をしたけど、ぱっと表情を変えてそう言った。
「でも、水輝荷物はどうするの?」
「ん〜、自分で持ってく」
「でも重いし…」
お母さんが頭を悩ませていると、ピンポーンと鳴った。
「はーい」
私は玄関まで走り、ドアを開けて言う。