石板に映る男性は、大層お怒りの様子だ。

銀太さんは、食卓に肘をついて「はいはい」と黙って聞いているようだが、後ろ姿からではその表情はわからない。



『姫様は【ルナドラグ】で軍人をしている身分ではない尊き御方だ!なのに、姫様がどうしてもというから……!』

「わかったわかった。そんな姫様がひもじい思いしないように、食料を転送してくれ。リストはこの後そっちに送るから。食い扶持一人増えたし」

『人の話をちゃんと聞いてるか?!』

「兄上は毎度同じ事しか言ってないだろ。聖威が不自由しないよう美味いもん食わせろとしか」

『……まあ、いい。その食い扶持……重要参考人である天界の令嬢は丁重におもてなしするように。とうとう、特級犯罪人・架威の足取りを掴んだんだ。竜樹殿にも感謝しなければな』

「あいつホワイトソース好きらしいぞ」

『それなら食料の転送には大量にホワイトソースの素を積んでやる。架威を逃すようなヘマは絶対するな。この世界で何としても確保しろ。姫様の、星宿院家の名誉のためにも!』

「はいはい。小麦粉とバターと牛乳でいいって」

『はいは一回でいい!……定期報告を待ってる』

「はいはい」