何も言い返せない私の様子を見て、「だろ?」と、聖威はニヤニヤ笑い続ける。もう悪者。悪者よ、その顔。
一人で勝手に盛り上がってルンルンとしている聖威に、深いため息をつくのは銀太さんだった。
「おいおい。何を一人で突っ走ってる?人の不幸は蜜の味か?……それに、舞空の冤罪すら晴れれば、それがざまあになるだろうが。聖威がいちいち楽しむ必要ないだろ」
諌められると頭にくるのか、美少女は再び口を尖らす。
「ちっ!そんな単純な展開、盛り上がりに欠けるだろ!私ゃこの目でリアルに盛大なざまぁが見たいだけなんだよぉぉ!ようやくこの何の面白げも無いクソな世界でのお楽しみが出来たのにぃぃ!」
「というか、おまえはいったいここに何しに来てるんだ。俺たちは特別編成班、ミッション遂行に来てるわけだろ。特級犯罪人を捕まえる以外にやることないはずだ」
今度は、聖威と銀太さんの小競り合いだ。随分騒がしい人たち……。
唖然と見ていると、翼が「月輪界はお貴族自体数少ないから、婚約云々揉め事なくて物珍しいのよ。許してちょ」と、笑顔を添えて私に一言告げる。
そうですか……。



