「ちょ、ちょっと待って!……じゃ、じゃあ、本物の、本物の韋駄天様は?!」
「何処かに監禁されてるか、もしくは死……」
「っ!」
こんな展開、予想してなかった。
もし、聖威の見解が事実だとしたら……行方不明の令嬢を寝所に連れ込んでいた韋駄天様も、あの時私に冤罪を着せた韋駄天様も、偽物だった……?
そんな……!
(あぁ、韋駄天様っ……!)
韋駄天様な、私に無実の罪を着せて、ただふんぞり返っていたわけではない。
まさかそれは偽物で、まさかこんなカタチで、安否がわからない状況だったなんて。
主に少しでも負の感情を抱いてしまったことを、悔やんでならない。
「もしかして、偽物韋駄天様と共に舞空嬢を責め立てた朝霧殿も他者が擬態した偽物……?」
「擬態できるのは自分だけで、他者を擬態させることができる術式じゃない。婚約者のお坊ちゃんは、父上の戯言に本気で乗っかっただけだろ。『婚約破棄する!』なんてな?なんてな?……ぷぷっ」
「……」
人の不幸、笑うのやめてくれる?



