再び始まった小競り合いを眺めながら、短髪の彼ーー銀太さんが、ボソッと呟く。



「やらかして追い出されたのは、どっちもどっちだろ」

「ああぁぁっ?!銀太、おまえこそ帝宮の厨房でやらかしてんだろ!この世界にない料理出しやがって!クソな世界の住民、『何この美味しい料理……!』って、感激で騒然としてたろが!飯テロ起こすな!」

「このクソな世界で、カルボナーラ作るんじゃありませんよ!銀ちゃん!」



……彼らは、特級犯罪人を追い詰めるために、まずは善見城に潜入調査をしていた。

しかし、それぞれがいろいろやらかし追い出され、潜入失敗したらしい。

けど、クソな世界って……。

「カルボナーラは美味いけど、いい加減にしろ!」と、再び竜樹様の怒号が飛んだのは、間もなくのことだった。

いや、この小競り合い、竜樹様が最初でしょ。



「取り敢えず、こいつらの善見城潜入失敗談は置いといて、話を戻そう。……舞空嬢、韋駄天城にて異変はなかったろうか?」

「色事。色事でいーよん?ゴシップ万歳」

「うるさいぞ!そこの魔族!」

「えー」

竜樹様は、翼が黒い翼の魔族だということを、知ってるんだ……。



……では、ない。