命に別状は無かったが、これは毒による症状ではないかと判断された。

私は給仕に忙しく、その場にはいなかったのだが、主の暗殺未遂という事の状況を目にして全身の血の気が引いた。

だが、そんなてんやわんやの大騒ぎの中。

その城の主である韋駄天様が、声高らかに宣告された。



『毒を持ったのは……舞空だ!その者を捕らえよ!』




一瞬、韋駄天様が何を言っているのかがわからなかった。

え?……この私が、伽藍様の食事に毒を?

意味をようやく理解しかけたのは、城内の衛兵が私の体を捕らえた時だった。腕を掴まれ、身動きが取れないという状況になった時だった。



『い、韋駄天様、何を仰っているのですか?!私が何故……!御膳だってちゃんと毒味を……!』

『伽藍の給仕をしたのは舞空、其方であろう!毒味の後に毒を入れるなど、いくらでも出来る!』

『そ、そんな無茶苦茶な!……ちゃんと調べて下さいませ!私はやっておりません!』

『……えぇい!うるさい!その暗殺犯を地下牢に連れて行け!』



こうしてあれよあれよと私は地下牢の中へと連れて行かれてしまった。