そう言って、豹牙様は「ほら!」と、韋駄天様の肩を叩いた。

韋駄天様は「天子様の付き添い、有り難き幸せ……!」と、呟きながら、現場に到着した弥勒様に肩を貸して貰っている。



「じゃあ、舞空!俺、べんきょーしてくっからまた明日!後は兄上、よろしく頼む!……毘沙門天、行くぞ!」



そうして、豹牙様は毘沙門天様を率いて、韋駄天様、弥勒様と共に去っていった。

たまに振り返っては、こっちに手を振って。

兄である天王様も、にこやかにずっと手を振り返していた。

「んっとに、韋駄天ももう若くはねーんだから、無理すんな!今もゼーゼーしとるやないか!」

「め、面目ありません、天子様……」




そして、そんな一行の姿が見えなくなると、まるで嵐が去ったかのように静かになってしまった。

四阿に残されたのは、私と天王様の二人。



「……さて、舞空嬢」

「は、はい」

「飛び入りですが、昨日に引き続き、ご一緒しても宜しいですか?」

「は、はい!」



……実は、豹牙様に続いて。私は昨日から、天王様ともお茶の時間をご一緒させてもらったのだ。

昨日は私の客室で、だけど。



天王様も豹牙様と同じで、想いを共有したかったのだと思う。

異世界の戦士たちへの……恋心を抱いた、一人の女性への想いを。