そして、女性から大きな紙の箱を受け取る聖威。

「中に捺印必要な書類並べて待ってるからね?出立したら速攻サインしてもらうから!」と、女性は言い捨てて中へ戻っていった。

聖威、あわわ……と、ずーんと落ち込んでいる。



そして、この箱。紙なのに頑丈そう。しかも、何か書いてある。けど、読めない字。月輪界の文字?

「こ、これ、字?何か書いてある」

「あぁ、これ。『有田みかん』って書いてあんの」

「ありたみかん?蜜柑?」

「人間界発の蜜柑だ」

もの珍しくてジーッと凝視してると、その箱は私の前にドンと差し出された。



「そうそう、これ。舞空にやる」

「え!」



やる、と言われて強引に目の前に差し出されたら、反射で手が出る。

両手に乗せられズシッと重みを感じた。



「これ、何?」

「私のおやつのストックだ。開けてみ?」

「おやつのすとっく?」



首を傾げながら、言われたとおりに箱の蓋をヒョイと開ける。

しかし、その中身を見て思わず声を上げてしまった。



「こ、これ……!」

「舞空、たいそう気に入ってたろ?私は月輪界に帰ったらいくらでもあるし、舞空にやるよ」

「え、いいの?!」



箱の中身は……チョコレートだった。