手を差し伸べてくれたからこそ、今の私がある。

過去から抜け出して、前を向くことが出来た私も、含めて。



「本当に、ありがとう」



そして、命を助けてもらっただけじゃなく。

親の言いなりになって、『夢』を諦めて人生を俯いて歩いていた私に。

そんな私が、もっと正直に。胸を張って前を向いて歩いていいんだとわかった。

そう……言ってくれた。



「……ありがとう、みんな。ありがとう」



この最上級の感謝を言葉でしか言い表せないのが、もどかしい。

でも、目の前の三人は当たり前に受け止めてくれて、笑顔で返してくれる。



「いやいや、俺たちも任務の結果が前進しまくって首の皮一枚繋がりましたよー!これも舞空が協力してくれた、お・か・げ?裁判なんかやってくれちゃったりしてさー?カッコよかったぜーぃ?」



……翼。相変わらず、お調子者だね。

でも、ここぞという時に現れて、助けてくれた。



「いやーホントだ。ここで戦果あげなかったら、捜査から外されてたろ。……聖威だけが」

「ホント、月影の過保護にも困るよね!ね!」

「俺っちなんて、節酒言い渡されたちまって……とほほ」