と、なると、これが『聖域』の力……!



力の弱い者は一瞬にして消滅し、完全消滅しなかった者でも、手負いになった者にはいたようで。

魔力の強い人型魔族は辛うじて立っていられるが、この有り様に茫然とする者もいれば、狼狽え始めて後退りを始める者もいる。反応は様々だ。




「……」



本来の標的である架威はというと。

体を結界で囲み込んでおり、架威の足元には……上半身を半分失くし、ピクピクと痙攣した身体の大きな魔獣が転がっている。

反応が良かったのか、間一髪で結界を張り、身体の大きい魔獣を盾にして防御をしたのか。

結界の中にいて防御を続けている架威。その中でもなお怒りを剥き出して聖威を睨んでいるが、瞳が泳いでいることから動揺すら見られる。

そこへ、聖威が言葉で攻め入る。



「……自分の命を脅かすとわかっていても、この『聖域』の力を、【宿曜】を欲しいのですか?兄上……何故、魔族を喰らい魔力を手に入れたのか。理解に苦しみます」

「るさい……うるさい、うるさいぃぃっ!魔力はひとつの手段であって、私は魔力に完全に侵されたわけではない!神力もまだ残って……」