「めいどのみやげ……」



言葉そっくりそのまま繰り返してみると、ハッと気付かされる。



「ならばさっさと逝ね。君のせいでこんな大事になって……私は非常に不愉快だよ」

「……」

「大人しく監獄に放り込まれていればいいものの……無駄に足掻きやがって」



架威は顔は不気味に笑っているも、低く落とした声からは殺気が滲み出ていた。

聖威と手を組み、本日に至った原因の私に憤りを感じているのだろう。

ブツブツと譫言のように呟きながら、右手にドス黒い靄の塊……魔力が渦を巻いて掌中されていた。

架威の右手で急速に大きくなっていく魔力の塊から漏れる障気は、私に見えない圧を掛けてくる。

少なからず、息苦しさを覚えていた。



大きな魔力の塊、まさかそれを私に放つつもり?!

あんな膨大な魔力に当てられてしまったら……ひとたまりもない!



目の前の恐怖に、一瞬だけ怯む。背を向けず、一歩後退りする。

……架威は私を本気で殺すつもりなのだ。



「‥‥逃げようとしても無駄だ。ここは幻術の中。誰にも邪魔は出来ない!」