「……」
そう言う架威の表情は歪み、嫌悪が滲んでいた。
韋駄天様の姿を装って星見候補の令嬢に声をかけたのは自分なのに、何たる言い様だ。
「でも、意図して令嬢たちに近付いたのは貴方ですよね?何のために……」
「そこは、愚妹らから聞いているんじゃないのか?私の目的は、何か」
「……」
そこの見通しは出来ているようだ。何なら公衆の面前であんな付け焼き刃のような言い訳をせずとも、他の拙い部分を補えるはずなんだけどな。
とも思いながらも、黙って話の続きに耳を傾ける。
「……私の目的は、聖域の番人と言われる星見の最高峰【宿曜】の奪還だ」
「え……」
この人は、何を……!
勘違い、大きな思い違いとも言いたくなるような言い回しに、呆気に取られそうになる。
「奪還?……奪還って、【宿曜】の力は元々貴方のものではなくて、奪われたわけでは」
「星宿院家は星見【宿曜】の末裔の一族。当主代々引き継がれているはず、だった。……でも、当主である父は何も教えてくれなかったんだよ。【宿曜】に関する秘密を何一つ。次代の当主はこの私であるというのに……!」
「……」



