だが、世の中そんなにうまくは行かず、またしても私らの行く手を阻むかのように、魔獣が目の前に現れる。

今度は一斉に三体。それぞれが様々な特徴を持った魔獣だ。



「舞空!出口はすぐそこだ!走り抜けられるか?」

「えっ」



私が問い返す間もなく、竜樹様はすでに三体の魔獣を前に戦闘体勢に入っていた。

……恐らく、三体一斉に相手をするのは、時間がかかる。

ならば、竜樹様がこの魔獣らを引きつけている間にすぐそこの出口まで駆け抜けろ、ということなのだろう。

竜樹様だって、私を庇いながら戦うのも大変だ。足手まといになるのはこっちとしても申し訳ない。

「わ、わかりました!」

竜樹様の意図を読み取り、私は竜樹様の後ろから離れる。

ワンピースの裾が捲れるのも気にせず、出口まで一直線に駆け抜けようと、走り始めた。

……その時だった。



(……え?)



地面が、グニャリと揺れる。

まるで、沼に足を囚われるみたいに。

何、これ……!



「……あっ!」



走り出そうとした勢いを止められず、地面の変異に足を囚われた私は、勢いよくその場にすっ転んでしまった。