「翼っ……」
「坊っちゃん、すみませんな?拙者は今、やらねばならないことがあります故」
「……やらねばならないこと?」
ふと、天子様が顔を上げ、翼の顔を見上げた。
すると、翼はニッと笑って刀を天に翳して構えた。
身振り手振り大袈裟で、半分ふざけているような。
「拙者のやらねばならぬこと。あ、この刀で悪を斬る……!」
「……」
手振りに合わせて首を回して、わざと変な体勢をしている。何かの真似をしているのか、声色が変わった。
何だそれ。こんな時にふざけてんのか。
……だが、類は友を呼ぶ。
「おおぉぉ!せっしゃ?なんだその変な喋り方。変だけどカッコいいぞ!」
途端に天子様の目がキラキラと光り出した。
変な体勢と喋り方、天子様にはカッコよく見えたらしい。
私にはどう見てもふざけてるようにしか見えないが。
「でしょー?うししし。後で坊っちゃんにも教えてあげますぞん」
「ほ、本当か?!」
「ええ、なので今はそこのゴリラのような毘沙門天のオヤジと逃げてくださいな?」
横で毘沙門天様が「ゴリラとは何だ!」と怒っている。
ごもっとも。



