せめて、捏造であれ言い返せるぐらいの引き出しは用意しておくべきだ。

そして、言葉を失ったか最後。

この御方の口撃は止まらない。



「まあ、例えの話として、毒を購入し使用したと致しましょう。だからといって、被害者の父親の独断で投獄し、私刑?……貴殿は、『舞空嬢が危険人物ゆえに独断で刑を執行した』と仰ってましたが、毒を購入し使用したところで、彼女は神術士の登録もない一介の侍女。……まさか、韋駄天城に常駐する、上級神術士である貴殿の護衛らが一介の侍女を拘束出来ないということは無いでしょう?危険人物を排除するために、即刑を執行したなど些かおかしい話なのですよ」

「……」

「……それに貴殿は、この舞空嬢の義父親となる予定だったのでしょう?彼女がどういう人物なのか、ご存知のはずですが?それとも、この舞空嬢について、我々が存じない『危険人物』となり得る事項があるのでしょうか?もしあるのなら、お聞かせ願えませんか?」



付け焼き刃の言い分ということがわかっているからなのだろうか。

ここまで、徹底的に質問攻めをするとは。我が味方ながら、恐ろしくなってきた。

竜樹様の顔が生き生きしているのは、気のせいだろうか……。



取り敢えず、恐い。