さすが、竜樹様とも言うべきか。

怒りに囚われた朝霧様を、余裕たっぷりで黙らせてしまった。

その証拠に、朝霧様は黙りはしたもの、顔を歪めたままで、悔しそうにこっちを睨み付けている。

朝霧様にこのような見境のない感情的になる部分があるなんて、これまた幻滅だ。ため息が出る。

しかし、黙らせた側の竜樹様は涼しい顔をしている。朝霧様は眼中に入っていないようだ。



なんか……ざまあみろ!と、思ってしまった。



……はっ!もしや、これがざまぁというやつ?!小さいけど。

異世界戦士たちのワケのわからない言語をひとつ、理解した瞬間だった。




そして、法院の裁判官の号令で、この異議申し立ての裁判が開廷された。

まず、私達の間に起こった事件の事実確認が行われる。

食事中に伽藍様が突然、もがき苦しみ倒れたこと。韋駄天様はそれを毒と判断し、給仕に当たっていた私を独断で捕らえたこと。

そして、善見城へ報告をせず、調査官も呼ばずに即刻刑を与えたこと。

この韋駄天様の独断と行動に、私が異議申し立てをすることになった……と述べられた。