そして、芙蓉様こそ、赤いドレスをお召しになっていて……ホント、赤いドレス着なくて良かったわ。駄々被りだし、この裁きの場に似合わない。浮いている。ホント、頭おかしい人に見える。

ガッカリが止まらない。



そんなガッカリだらけの中にも関わらず、父上命お怒り朝霧様は、私に津々浦々不満があるのか、罵倒を止めない。ギャーギャー怒鳴っている。

私は取り合わずに返答しないでいるので、朝霧様がただ一人で勝手に吠えている図となっていた。



「聞いてるのか、舞空!」

「ーーー朝霧殿、裁判の進行を妨げる行為は止めて頂けませんか?」

「はっ……」



そこへ、さっくりと間に入ったのは、竜樹様だった。

歳下ではあるも、『天導師』という公認の地位に着いている御方に正論を指摘されて、一瞬言葉を失っている。

ほんの一瞬、だったけど。



「なっ……何故、天導師の竜樹殿が舞空の代理人を!……さては、婚約者という僕がありながらも、隠れて関係を持っていたのか!」

「法の裁きの場で、論点の外れた低次元な追及は止めて頂きたい。今回、法院に審判して頂くことは、そのようなくだらないことではないはずです」

「くっ……!」