余興、三文芝居……そうか。
天帝様はこの度の事情をご存知なのだ。
あの韋駄天様は、月輪界の特級犯罪人・架威の擬態した姿で、大広間でこれから繰り広げられるであろうことも。
でも、まさか天帝様も傍聴されるなんて、そんなのますます緊張させられる。
そうして、天帝様は護衛を引き連れて、颯爽と去っていく。私らより先に大広間へと入るようだ。
天帝様の御一行を見送ってから、私達も再び移動を始めた。
少し歩き進めると、一際大きい豪華絢爛な装飾の扉が見えてきた。
あれが、大広間へと繋がる入り口。
あの扉の向こうに広がっているのは、私の戦場だ。
(とうとう……)
波のように襲いかかってくる緊張に、再び息を呑む。これから、戦いが始まるのだ。
……でも、一人じゃない。
「……舞空、緊張してるか?」
扉の前で共に足を停めた竜樹様が、様子を窺うように私の方へと振り向く。まるで、私の緊張と不安を見透かすかのように。
ちなみに、本日の竜樹様は、竜族の象徴色である濃紺の軍服。『天導師』の正装だ。
何をお召しになっても美少年なのは間違いない。



