(い、いやいや……)



首を横にブンブンと振って、その不安を薙ぎ払う。

深呼吸して、息を整えた。



大丈夫、大丈夫だ私。

朝、出発前にみんなと念入りな打ち合わせをしてきた。

私の裁判の間の、その裏の動きも把握した。万が一のため、会場内にも潜んで見守ってくれている。

法廷では、傍には代理人の竜樹様がいる。代理弁護をしてくれるという。



みんなが……ついている。

私は、一人じゃない。



その事実があれば、顔を上げてこんなにも前を向いていられる。

あの時のように、誰も味方がいない状態ではないのだ。

それが私を強くさせる。



(絶対に……)



絶対に、私の無実を証明して、特級犯罪人・架威を追い詰める。

これらの事を再認識して、今一度自分を奮い立たせた。




そして、時間になり、入廷が命じられる。

控えていた部屋から一歩、踏み出して向かった。

ーーー戦いの場へ。



監視の兵に付き添われながら、竜樹様の一方後ろを歩いて前に進む。

外は晴れていて、太陽の日差しが私達の歩く大広間への回廊を照らしていた。