(もっと、正直に……)



そうすれば、違う私が見えていたのかもしれない、なんて。そう思った。




「……まあ、取り敢えず。これからのことは、目の前の事を片付けてからか?それからでも遅くないだろ」

「う、うん」



そう言って、私の肩にポンと手を置いて、ニッと笑いかけてくる聖威。

聖威の言いたいことを理解したつもりで、私は頷き返した。



……そうだ。今の私達の目の前にはやるべき事がある。

裁判に臨んで自らの冤罪を晴らす。特級犯罪人・架威を追い詰める。

今の私が精一杯悔いなくやるべきこと、だ。

その結果が、私達の今後を大きく左右させることは間違いない。



人生を悔いなく、丁寧に。

拳を握って、前を見据えた瞬間だった。







ーーーそして、穏やかな数日を経て。

私の決戦の日。

韋駄天様への私刑異議申し立ての裁判の日がやってきた。