「ふふ、そうね。でも、両親にとって私は一族の政略のための駒でしかなかったってわけね」

「めんどくせーな」

「だから、生まれながら神術士の修行が出来ていた聖威が羨ましいなっていうか。あはは」

「……」

自嘲して笑っていると、ふと視線に気付く。

聖威が真剣な眼差しで、私をじっと見つめていたのだ。



「……舞空」

「え?」

「舞空の人生は、舞空のものだ。おまえの父ちゃん母ちゃんのモノじゃないぞ」

「へ……」

「……この今、一分一秒。そして明日も。全部舞空のものだ。未来で成功するのも、期待するのも……後悔するのも。全部、舞空のもの。何を選ぶのかも、夢を諦めるのも」



真顔で、尤もなことを口にする。

その顔を見ていると、思わず笑いを止めてしまった。

自分自身を嘲笑っていたことが、何だか恥ずかしくなってしまったのだ。

そんな私たちの間には、少しばかりか沈黙が流れる。



「前に父上が言ってた。今日ここにいる自分って、昨日の自分が拵えたものなんだって。……自分の意志で精一杯生きた今日の糧は、明日に必ず生かされる。だから、毎日毎日、丁寧に悔いなく過ごせ。と」

「……」