それから、ほぼ同じ時期に翼も銀太さんも善見城から追われることとなり、それを見かねた竜樹様が花街のこの古民家を借り上げてくれて、今に至るという。

そして、間を置かずして、私のこの冤罪事件が発覚した。






「……結局は、単なる暇潰しの相手だった。というオチ」



ははっ…と口角を引き攣らせて苦笑いしている聖威だが、その様子が自虐的で、傷心が何とも痛々しい。

「ファーストキスだったのになぁ……」と、ボソッと呟いた。

「ふぁーすと?きす?」

「……人生初めての接吻って意味!あぁ、おい!ここまで横文字通じねえとイラッとくるわ」

「え、え!聖威、初めてだったの!」

怒られたにも関わらず、思わぬ事実に少し沸き立ってしまった。

私の反応に、聖威は顔を赤らめて反論する。

「う、うるせえな!舞空だって!……あ、婚約者いたもんな。してるか」

「……」

そりゃあ、接吻のひとつぐらいは……。



「でも、話聞いてくれって、追いかけてきたじゃない。いいの?」



天王様のあの鬼気迫る必死な表情を忘れられない。

あれは、暇潰しに接吻した相手に対する態度じゃないだろう。

そう感じて、聖威に問う。