……と、過去に聞いたことがある。
天界の歴史や、神術の研究文書を好んで勉強している、詳しい朝霧様がそう話していたような気がする。
私の神術の豆知識は、研究室の文官を務める朝霧様から教わったものがほとんどなんだけど。
「宿曜を愚弄するなど、星宿院家の恥だ!」
先ほどから、神力の塊の砲弾が聖威を狙って次々と飛び交う。
しかし、それはあくまでも憎悪を向けた架威の一方的な攻撃のみで、聖威は防戦に徹している。
特級犯罪人といえど、実の親に手を掛けた者でも、聖威にとって架威は……実の兄なのだ。
だが、神力の砲弾を避け続けているのはいいが、流れ弾として周辺の木々や地に落ちては轟音をあげて爆発している。
だいぶ大きな騒ぎになっていることに、私は羅沙姫を腕に抱きながらヒヤヒヤとしていた。
天帝様のお膝元、善見城の敷地内で神力による戦闘が繰り広げられているのだ。
人目につかない闘技場の裏とはいえ、騒ぎを聞きつけてくる人がいるかもしれない。
……ちょっと、これいつまで続けてるの?!
早くしないと……人が来ちゃう!