聖威の発言によって怒りを顕にした架威は、吠える。

雄叫びで、空気がピリッと震えた。



「たかがではない!『聖域』とは、何にも代え難い最強の力、『聖域』の気に触れればどのような勢力も一瞬で浄化される……何にも屈さない力だ!聖域の番人・宿曜は、その『聖域』の扉を開ける資格を持つ者、『聖域』を支配する者……それをたかがと?何も知らない愚か者め!」

「兄上こそ認識が間違っております!……宿曜とは。……『たかが』番人でございます!」

「それが愚弄だと言っているのだ!!……聖威ぃぃっ!」



特級犯罪人・架威は、またしても吠える。

そして、架威の掌には再び紫の神力が渦を巻いて掌中されていて、聖威に向けて乱暴に放たれる。

まるで、八つ当たりのように。

神力の砲弾を、聖威は結界陣を出さずに素早く後ろに飛んで回避する。

次々と放たれた砲弾を回避し、正面に迫り来たものは、叩き落としていた。



「兄上……」



最後の一弾を躱したのち、その大きな瞳で架威をぐっと睨む。



「お願いですから、投降してください……」