「……何だ?『神からのギフト』とでもいいたいのか?……笑止万全だな?」

「なっ……」

「それに、そのギフトとやらは私が受け取るに最も相応しい。その私が取り返すのは筋ではないか」

「……」



なんて無茶苦茶な思考だ。

恐ろしい事をしれっと口から吐く特級犯罪人に、唖然としたのはいうまでもない。

ようするに『聖域』を持つに相応しいのは自分だから、他人の物を……命すら奪ってもいい。それが筋という話だ。

筋の意味が、一瞬わからなくなる。これが、特級犯罪人の思考……。

罪を重ねると、そこまで地に堕ちるのか。



「あ、兄上……」



聖威の声は、震えている。

手がカタカタと震えているのが、ローブの上からでもわかる。

怒りを、堪えているのだ。



「……兄上が、父上らを殺めた理由は、存じておりましたが……」

「……」

「……やはり、どうしても理解出来ないのです」

「は?」

「たかが『聖域の番人』という役割。実の親を殺めてまで、得るまでに値するものではない……!」

「愚弄するか!……貴様ぁぁっ!」