まるで、何か魔力にでも当てられたような。

……しかし、それは確信へと繋がる証拠だった。



「……【擬態術式】の綻びが出た」

「え?」

ひょっとして……今のゾワッとした寒気が、術の綻びだったの?

そう口にした聖威は、表情を変えず険しいままだ。

「『ごちそう』を目の前にして、我慢が出来なかったか……?」

「は……ご馳走?」



と、なるとこれは本確定だ。

やはり、この韋駄天様は特級犯罪人・架威のなりすまし……!



一方、真っ正面から向き合っている姫君とニセモノ韋駄天様の会話は続いていた。



「は、話?……なんですか?」



羅沙姫は、ニセモノ韋駄天様から目を離さず、後退りをし始めている。

おもいっきり、警戒状態だ。

ひょっとして、目の前で不気味に微笑まれ、ビックリしたのか。

それとも、姫様もこの【擬態術式】の綻びから溢れた違和感を感じ取っているとか?



ニセモノ韋駄天様は、ますます笑みを浮かべる。

その顔貌は、先程以上に崩れて……!



「ああ、話を聞きたいよ?やっと見つけたんだ……」

「ひっ……!」

「こんなに強い『聖域』の力、初めてだ……!」

「ひゃぁっ!」