「うわぁぁんっ!おかあさまぁぁっ!もう、おうちに帰るぅぅぅっ!」

「ええ、帰りましょう!こんなクソな場所、二度と来ないわよ!……夜迦!帰る前に、あのクソ天子を善見城ごと斬鉄剣で真っ二つにしておしまいぃぃっ!」

「母上、それは謀反と見做されます」



場外でぎゃいのぎゃいのと騒ぐ母親に、わんわんと泣く娘。

どつかれた竜樹様は、茫然としている。……そりゃそうよね。

唖然としてしまうが、でも何故か温かい拍手が観客から送られていた。……本当に、何故?軽く惨事になってるよ?!

一方、クソ呼ばわりされた天子様は、「うわぁーメンゴメンゴ!だって神術剣使わなんだ、負けそうだったもー」と、罵倒されたことは気にせず笑っている。……器、大きすぎない?!いや、負けそうになって大技を使うということは器が狭いのか。

そして、兄である天王様の方へと向かって「兄上、優勝したで!約束守ってーな!」とぶんぶん手を振っていた。

天王様は、うんうんと笑顔を崩さず手を振り返していた。……ちょっと、空気感!



「翼……おまえ、皇子殿下に何を教えてんだよ」

「えぇー?」

「雷同魔破剣、おまえの神術剣の奥義だろーが!」

「うわははは」




こうして、ちびっこ剣術大会は終了。



……では、なかった。