なんと、竜樹様の従者だった。昨日、竜樹様の後ろに待機していた同じ年頃の金髪の青年。竜樹様の従兄弟である士黄(しおう)様だ。
「ちーっす。士黄、なした?」
「士黄一人?竜樹は?」
「我が君は善見城でお仕事よー。頼まれた物をお届けに来たのですわー」
そう言って、士黄様は私に大きめの袋を手渡す。
中には、女性ものの衣服が入っていた。平民向けのワンピースだ。
そういえば、私が今着ている服は護送されていた時のくすんだ生成りの囚人服。
着心地悪かったから、有り難い。
「我が君が、女性にその格好のままでいさせるのは可哀想だと仰ってなぁ。朝イチで届けるよう命じられたのだよ」
「へー。じゃあ、これらは竜樹チョイスなわけだな。竜樹の趣味が伺えるという……」
「ふーん。シンプルな上にテッパンだな」
「いやいや、あんたら仮にも潜伏中でしょう。そんな派手なもの着せられないって」
「男が女の服選ぶとかキモっ」
聖威に一刀両断された。
ちょっとちょっと。せっかく気を遣ってもらったのに、それはないでしょう。