あの日は紅葉が見頃の秋晴れだったと思う。

小学校からの帰り道、好奇心が勝っていつもと違うルートを歩んでいた。

そこで偶然公園を見つけて気持ちの赴くままに立ち寄った。

ランドセルと紅葉のクッションの上に置いて、当時1番好きだった遊具のブランコに乗る。

程よい温度の風を感じて心地よかった。

あの人達が現れるまでは。

ひゃははははは、と男子たちの笑い声がして全身に緊張が走るのが分かった。

その男子たちが公園に入ってくるのが見えて、咄嗟にトンネルの遊具の裏に隠れた。

お願いだから私に気づかないでと手を合わせて祈る。

その願いは虚しく、「あれ、このランドセルっていちかのじゃね?」とここにいることがバレてしまった。

すっかりランドセルの存在を忘れていたのだ。

あとは時間の問題ですぐに見つかってしまった。

運の悪いことにランドセルは人質に取られていた。


「ほら、くやしかったらとりかえしてみろよ!」
「やめて!かえして!!」


この男子たちはいつもそうだった。