「何やってんの?」 聞き覚えのある声。 ふわりと私を抱きしめたその匂いに、 私は涙がいっぱいになった。 「あ…き……」 「妹が困ってるんでこーゆーのやめてもらっていいですか?」 あきのいつになく低い声。 これはかなり怒ってる…。 でも私を抱きしめる手は優しくて。 「ほら、行くぞ。」 私の肩に手を添えたまま、 杉崎さんに背を向け歩き出した。 「お兄さん? あんまりシスコンだと彼女できないよー?」 杉崎さんは去りゆく私たちにそれだけ言った。