「こんなにも大切で愛しい存在が私を強くしてくれる。生きることにどん欲にしてくれている。」
「泣くから」
「ははっ。悪いな、泣かせて。でも言いたい。今言いたくて仕方ないんだ。愛しさが自分の範囲を超えてあふれて止まらない。咲を壊しそうなほどに。あふれて。」
「・・・泣かせようとしてるでしょう」
私の瞳から流れた涙を、鉄平が拭ってくれる。

「こんなにも広い世界で、長い長い歴史の中で、今こうして咲と出会えて、こうして抱きしめられる。こんなに幸せなことがあってもいいのだろうか。王である自分の運命を呪っていた私に、希望の光を与えてくれたのは咲、そなただ。ありがとう。」

違う。

目の前にいる鉄王と呼ばれるこの王が、鉄平と全く違う外見だったとしても、私はきっとこうして愛しさを感じたと思う。

外見だけじゃない・・・心で私たちはつながっていると感覚でわかるからだ。

私と鉄平がつながっていたのと同じように、繋がっているからだ・・・