「咲?どうした?顔色が悪い。」
急に黙った私の方に体を向ける鉄平が、私の頬に触れる。

私よりも頭一つ分は背が高い鉄平は私の顔を覗き込むようにかがむ。

「平気か?部屋に戻るか?」
その言葉に首を横に振る。

「私は王にとって、邪魔ではありませんか?そばにいて、いいのでしょうか。」
「何を言っている。」
私の言葉に鉄平が眉間にしわを寄せる。

過去の記憶が私の心を締め付ける。
命を奪ってしまった。何よりも大切な鉄平の命を。
こんな私がまだ鉄平のそばにいる資格はあるのだろうか。

今の世界でも、鉄平の足を引っ張ってしまっていることを富さんから聞いているからこそ、この質問をせずにいられなかった。