「わ、わ!すいません、つい思ってることが口に…!今日は色々あり過ぎて、しかも泣き過ぎて思考回路がショート寸前なので、許して下さい…」

するとまた緩く上がる口角。

「…セーラームーンか」

わ、また笑った?しかも、突っ込んだ…?

何かもうおかしくなって来て、さっきまであんなに泣いていたはずなのに、またははっ、と笑いが込み上げて来た。

それを見た柳さんは切れ長の瞳をほんの僅か見開いたと思ったらすぐにいつも通りになり、

「俺、大体いつもこのくらいの時間にここでタバコ吸ってるから、気が向いたらまたここで話し相手になって」

じゃ、柳さんはそう言って、そのまま気怠げに部屋に戻って行った。


ーー陽平の温もりがなくなってしん、と冷えた私の心に、柳さんの温かさがほんのり寄り添ってくれたおかげで凍てついた心が少しだけ解けた気がする。

さっきまで冷たく哀れむように私を見つめていた満月が、心なしか今は優しく柔らかい光で私を照らしてくれている気がしたーー。