「…は?」

「昨日はあんな怖い顔して私を抱こうとしたのに、今日はわざわざ心配して迎えになんて来てくれて。イチさんはあれですか過保護なお父さんですか」


「…過保護なお父…」

「怖いのか優しいのかどっちかにして下さい」

「…こな…」

ひたすらに前を見据えながらイチさんに口を挟む間も与えず私は続ける。

「そもそもイチさんにとって私は何ですか。ただのお隣さんですか、部下ですか、それともセフレですか」

「…っちょっ、待って!小夏、セフレってなに」

イチさんがちょっと動揺した。
動揺して、キキィッ!
マンションまであと少し、という人通りの少ない路地で車を停めた。

かち、かち、かち。ハザードランプの点滅する音が響く。

「セフレとは、身体の関係しかない男女のことを言います」