「…っあのっ、千葉先輩っ…!」

「…緒原、今返事はいらない。ようやく緒原に俺の気持ち知ってもらえたんだ。これからは遠慮なく攻めるから、覚悟して?」

いつも明るくて人懐っこくて、笑うとえくぼが出来て可愛らしい千葉先輩が、男の顔になった。
私の目をまっすぐ見つめてニッと笑って宣戦布告してくる千葉先輩は、間違いなく男の色気を纏っていた。

「とりあえず、美鈴先輩が戻ってきたら今日はお開きにしようか。これ以上一緒にいたら、俺緒原に何するか分かんないし」

その意味を理解して、かぁぁぁっ、と顔に熱が集まる。

その瞬間、ちゅ、ほっぺに柔らかい感触がして、あ、キスされたんだ、と思ったら『小夏、隙だらけ』と言ったあの日のイチさんが脳裏に浮かんで来て、何だか泣きそうになった。


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美鈴先輩と2人、駅まで千葉先輩に送ってもらい改札をくぐってそれぞれのホームに向かう途中、

「…緒原。千葉のこと、これからちゃんと考えてやってな」