周りが気付くくらいにはアピールしているのに?
それは千葉先輩、気の毒だな…

「…ははっ。それもそうですね。本人に意識してもらわないと、これはどうにもなりませんね」

「ここまで鈍いとはね…同情するよ、千葉…」

ちょっとトイレ、そう言って美鈴先輩はリビングを出て行った。

その時、苦笑いの千葉先輩がふ、と私を見つめ真剣な表情になる。

「…緒原、俺が好きなの、緒原だよ」

「…っえっ⁉︎」

「俺結構緒原は特別、って感じ出してたのに全然気付かないんだもんな」

「…わ、わたし…⁉︎」

「緒原が入社して来た時からずっと好きだったよ?美鈴先輩も、蔭山部長も俺の気持ち気付いてたのに、緒原ちっとも気付かないから」

はぁ。先輩が溜息を吐く。

……っ!
全く気付かなかった。千葉先輩が私のことを好きだったなんて、1ミリも考えもしなかった。