後悔しない…?本当にそれでいいの…?

まだうっすら理性の残る頭で自問自答するけど、ただのお隣さんという壁を壊したかった私は、この状況に自らの意思で流されることにした。
こんなチャンスはもう二度と来ないかもしれない。

そうして、こくん。

私は覚悟を決めて頷いたーー。

それを見たイチさんは私のコートをそっと脱がせ、ソファーの背もたれに掛ける。自分のコートとジャケットも。

そして軽々と私を横抱きにして、リビングの奥にある寝室のドアを開けそっと私をベッドに寝かせる。

私の上に跨りネクタイを緩めるその指に私は見惚れてしまう。
いつもタバコを吸っている時にこっそり眺めている、イチさんのゴツゴツしていなくて綺麗で長い指。
その指が器用にベストとワイシャツのボタンも外していく。