焦って隣でしれっと資料を戻しているイチさんを見上げる。

「誰もいないの確認済み」

また顔に出ていたか…!

「お、送るって?」

「そのままの意味だけど。どうせ家隣だし、あそこ街灯少ないし夜遅くなると人通りも少なくなって心配だから」

イチさんが、心配してくれている…
嬉しい。ふふ、思わずニヤけてしまう。

「でも車ってことは、イチさん飲まないんですか?」

「ん、なんかあの部署、めちゃくちゃ飲まして来そうな気ぃするから、車を口実に飲まない」

それはあり得る…
昨年とかもみんなベロンベロンだったし。
かく言う私も陽平と別れた直後でヤケ酒したらベロンベロンになった。

「…みんなと別れてから俺と時間差で地下駐車場まで来て。エレベーター前で待ち合わせ」

じゃ、先戻るわ。そう言ってイチさんは先に出て行った。